2014年08月25日

相続人の名義預貯金は相続財産に該当


〜相続税の裁判判例〜
相続人の名義預貯金は相続財産に該当exclamation×2 

(東京地裁 平成25年(行ウ)第104号 係属中)

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事案要件
 原告X(弁護士)が他の親族と共に被相続人から相続により取得した財産について相続税の申告を行ったところ、申告した相続財産のうち、原告名義の預貯金については生前贈与を受けた財産として更正の請求を行ったところ、税務当局より更正すべき理由がない旨の通知処分を受けたことにより争われました。
争点は、被相続人と原告との間で、原告名義の預貯金について、生前贈与する旨の贈与契約が成立していたか否かであります。

被相続人の財産に帰属する相続人名義の預貯金の判定
 相続人名義の預貯金が被相続人の相続財産に該当するか否かについて、判定基準が相続税法や通達において要件が規定されていません。よって、実務上では過去の判例、事実認定により総合考慮により判定されます。

主な認定事実
1.原告名義の預貯金への預入金額は、毎年、贈与税の基礎控除額範囲内で預け入れ。
2.原告名義の預貯金口座の一部解約に伴い、解約済み預貯金を原告に対し現金で交付。
3.原告は被相続人から届出印の返還を受け、所持していた。
4.原告名義の預貯金口座は、いずれも、被相続人自らの財産を原資として開設。
5.被相続人は、原告名義の預貯金口座に係る一部解約金を自己の口座に入金、同口座の資金を土地購入資金に充て、被相続人名義で土地を取得。
6.被相続人は、原告に対して届出印は返還したが、預貯金に係る証書を自ら保管。

東京地裁の判断
1.被相続人が相続税対策として、暦年贈与の基礎控除額の範囲内で相続人名義の預貯金口座に預け入れた、とした事実は認められました。
2〜6については.
•預貯金口座の購入原資の出捐者(しゅつえんしゃ)
•口座開設の意思決定、手続きを行った者、
•預貯金口座の管理、運用状況(通帳・証書、印鑑の保管場所等)
•贈与契約書の有無

以上の内容を前提に総合考慮され、次の判断が行われました。
預貯金を贈与する旨の書面が作成されておらず、預貯金の証書は自らが保管し原告らに交付せず、被相続人に具体的な資金需要が生じた際、被相続人が必要に応じ解約、自ら使用することを予定していたというべきである。
よって、被相続人は、預金口座開設時、その後の預け入れ当時、その預入金額を原告らに贈与する確定的な意思があったとまでは認められないというべきである。


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posted by 税理士法人M&T at 11:56| Comment(0) | 消費税 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月14日

消費税の届出

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消費税率の引き上げに加え、一定の事業者の免税点の不適用や選択届出の提出の制限、特定の業種の簡易課税制度のみなし仕入率の見直し等により、消費税の課税が強化される改正が続いています。

消費税には選択適用できる制度や申請により受けられる特例制度がありますが、その提出期限を過ぎてしまうと適用が受けられず、多くの消費税額を納めなくてはいけなくなります。

次のような場合には選択の届出や申請をすることにより消費税の還付を受けたり、税額を少なくすることができます。

1.課税事業者選択届出
@免税事業者で輸出業者のように売上に係る消費税額よりも仕入に係る消費税額が多く、経常的に還付が生じる事業者
A免税事業者で設備投資が多額になる場合
提出期限:適用を受けようとする課税期間の開始の日の前日まで(適用を受けようとする課税期間が事業を開始した日の属する課税期間である場合には、その課税期間中)

ただし、適用課税期間の初日から2年間は免税事業者に戻ることはできず、また、本則課税で調整対象固定資産を取得した場合は取得課税期間から3年間は免税事業者に戻ることはできません。

2.課税事業者選択不適用届出
@還付が受けられないこととなった場合
提出期限:適用を受けようとする課税期間の開始の日の前日まで

3.簡易課税制度選択届出

@本則課税による仕入税額よりも簡易課税によるみなし仕入税額が多くなる事業者
A外注を辞めて、従業員を増やす場合のように、本則課税による仕入税額が大きく減少する場合
提出期限:適用を受けようとする課税期間の開始の日の前日まで(適用を受けようとする課税期間が事業を開始した日の属する課税期間である場合には、その課税期間中)

ただし、適用課税期間の初日から2年間は本則課税に戻ることはできず、また、課税事業者を選択した課税期間又は課税事業者となる新設法人(事業年度開始時の資本金が1千万円以上の法人)の基準期間のない課税期間に、本則課税で調整対象固定資産を取得した場合は取得課税期間から3年間は簡易課税を選択することはできません。

4.簡易課税制度選択不適用届出
@設備投資が多額になる場合
提出期限:適用を受けようとする課税期間の開始の日の前日まで

5.課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請
@通常の課税売上割合よりも、合理的な基準により算出した割合が大きい場合
Aたまたま土地の譲渡があったことにより課税売上割合が減少する場合
提出期限:承認を受けようとするとき(承認を受けた日の属する課税期間から適用できます。)
課税売上割合に準ずる割合は、個別対応方式により仕入控除税額を計算する場合に適用でき、承認には2週間から1ケ月、場合によってはそれ以上かかることもありますので、注意が必要です。承認が間に合わなかった場合は取下げ書の提出が必要となります。

6.課税売上割合に準ずる割合の不適用届出
@通常の課税売上割合よりも、合理的な基準により算出した割合が小さくなった場合
A上記Aの土地の譲渡の翌課税期間
提出期限:適用をやめようとする課税期間の末日まで

7.課税期間特例選択・変更届出
@輸出を専門とする業者のように経常的に消費税が還付されるような事業者は、課税期間を1ケ月にすれば、毎月還付を受けることができます。
A大きな設備投資をする場合に課税期間を短縮・変更することで消費税の還付を受けることが可能になったり、還付される金額が多くなったりします。
B課税事業者選択(不適用)届出や簡易課税選択(不適用)届出は、課税期間の初日の前日までに提出しないと、その課税期間での選択の適用ができないが、課税期間を短縮することにより事業年度の途中で選択が可能になります。
提出期限:課税期間の特例の適用を受けようとする課税期間の開始の日の前日まで(事業を開始した日の属する期間である場合には、その期間中)

ただし、2年間は選択をやめることも、変更することもできません。

課税期間特例選択不適用届出
@消費税が還付でなくなった場合
提出期限:特例の適用をやめようとする課税期間の開始の日の前日まで
ただし、消費税課税期間の特例の適用を受けた日の属する課税期間の初日から2

年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、この届出書を提出することはできません。続きを読む
posted by 税理士法人M&T at 19:00| Comment(0) | 消費税 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月12日

特定新規設立法人の納税義務の免除の特例の創設

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消費税法の改正
特定新規設立法人の納税義務の免除の特例の創設

*消費税についても法人税同様に、グループ企業の概念が適用され、新設法人に係る事業者免税制度の納税義務判定が複雑になります。

平成26年4月1日以後に設立される法人については、「特定新規設立法人の納税義務の免除の特例」が創設されました。

新規設立法人とは、
1.基準期間がない事業年度開始の日において、資本金の額、又は出資の金額が1,000万円未満である法人。

特定要件(新消法12の3@、新消令25の2@)
他の者により、新規設立法人が支配される場合

ひらめき(1)株式保有割合が50%超である場合
 @ 当該他の者が発行済株式の総数または、出資の総額の50%超を保有する場合
 A 当該他の者、及び特殊な関係にある者が発行済株式の総数または、出資の総額の50%超を保有する場合
 B Aの法人が完全に支配している法人
 C Bの法人が完全に支配している法人
(例1)
( 法 人 X 社)   
↓50%超      
(特定新規設立法人)    
(例2)
(当該他の者A+当該他の者の親族等B)
    ↓50%超
 (特 定 新 規 設 立 法 人)
(例2)
(法人X社・当該他の者A・当該他の者の親族等B)
     ↓完全に支配
(法 人 Y 社)
↓50%超
(特定新規設立法人) 
(例3)
(法人X社・当該他の者A・当該他の者の親族等B)
     ↓完全に支配
(法 人 Y 社)
↓完全支配
(法 人 Z 社)
↓完全支配
(法 人 P 社)
↓50%超
(特定新規設立法人)
 

ひらめき(2)議決権保有割合が50%超である場合 
   当該他の者、上記Aに掲げる者が新規設立法人の次に掲げる議決権につき、総数の50%超を有する場合
 @ 事業の全部もしくは重要な部分の譲渡、解散、合併、分割、株式交換、株式移転、現物出資に関する議決権
 A 役員の選任、解任に関する議決権
 B 役員報酬、賞与その他の職務執行の対価として法人が供与する財産上の利益に関する事項についての議決権
 C 剰余金の配当または利益の配当に関する議決権

ひらめき(3)社員数の50%超である場合
新規設立法人が、合名会社、合資会社、合同会社である場合、当該他の者、上記Aに掲げる者が新規設立法人の社員の総数(業務を執行する役員を定めた場合は業務を執行する社員)の半数を超える数を占める場合。

ひらめき(4)基準期間相当期間における課税売上高
判定対象者(他の者及び当該他の者の特殊関係法人)の基準期間相当期間における課税売上高が5億円超

ひらめき(5)特殊関係法人が解散した場合(新消法12の3A)
新規設立法人を支配する者と特殊関係法人がすでに解散している場合でも、その解散した法人を判定から除外することはできません。

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*社会福祉法に規定する社会福祉法人その他専ら非課税資産の譲渡等を行うことを目的として設立された法人は、新規設立法人から除かれます。



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posted by 税理士法人M&T at 13:38| Comment(0) | 消費税 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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